McGuffin(マクガフィン)

【RYO-Z×ケンコバ】芸人の世界は、20代で食える人ってほぼいない。でも「無茶苦茶してやる」って気持ちで「楽しかったな」って

酒のグラスを間に挟むことで、人と人との距離を縮めるスピードは加速する。リップスライムのRYO-Zが酒を飲み交わしながら語り合うTOKYO CHILL OUT。今回は、とあることがきっかけでRYO-Zが親近感を感じ「ずっと会いたかった」という、お笑い芸人のケンドーコバヤシさんにご登場いただいた。念願叶っての対面に話は盛り上がる。
ケンドーコバヤシ(以下、ケンコバ):カンパーイ!

RYO-Z:はじめまして、よろしくお願いしますー!

ケンコバ:実は最近、ぎっくり腰やっちゃって。僕、ジムでデットリフトっていう競技をやっているんです。床に置いたダンベルを持ち上げる競技なんですけれど。

RYO-Z:たしかに、腰にやばそうな競技ですね。

ケンコバ:“デッド”って競技名についているくらいですからね。死の持ち上げ、っていう。やってるときに、斜め後ろでおばちゃんがバーベルの勢いに負けて、ガシャーンって転がったんですよ。それにびっくりした瞬間にバキっていきました。だからもらい事故なんですよ。周りの人は、「大丈夫ですか」っておばちゃんの方に駆け寄ったんですけれど、おばちゃんは恥ずかしかったのか自分の服を脇に抱えてババーって出て行って、みんなが「まぁまぁ、(大事に至らなくて)良かった」なんて言いながら振り返ったら、僕が腰を抑えてうずくまってるっていう。「何があったんですか」って言われました。

RYO-Z:やりましたね〜。俺も今43歳なので、ギックリ腰はこわいです。ライブ中にギックリ腰やったらシャレにならないなって。

リップスライムにはまだ警戒してます(笑)。同世代なのに大人やなぁって。—ケンコバ

ケンコバ:僕は45歳なので、同世代ですね。最初にRYO-Zさんを認識したときは、ちょっといかつい感じで東京のやばいやつなんかなって思ってました!(笑)世代が近いからこそ、未だにリップスライムという軍団に警戒心をまだ解いてないんですけどね。

RYO-Z:なんでですか!(笑)警戒しないでくださいよ。

ケンコバ:この歳になってやっと「警戒しないでもいいかな?」って思うようになりましたけど、まだ、警戒してます(笑)俺らと同年代のはずなのに、昔からこの軍団はなんでこんなに大人な感じなんやろなって思っていました。ガキっぽさがないっていうか。

RYO-Z:めっちゃガキでしたよ!でも、僕らも若い頃は警戒してたんじゃないでしょうか。なめられちゃいけないっていうのを。

ケンコバ:あぁ、なるほど。

RYO-Z:クラブから入っているので、夜の世界のムードがあったのかもしれないですね

ケンコバ:だからですかね。逆に、RYO-Zさんは僕のことはいつから認識してくださってたんですか?

RYO-Z:東京進出する前の、バッファロー吾郎さんとかとやられていた時期からでしょうか。声がものすごく特徴的で、一度聞いたら忘れられないですよね。

ケンコバ:ああ、そうなんですか!うれしいな。

RYO-Z:シンパシーを感じたのは、僕が初めて『an・an』という雑誌で「○○ランキング」に載せてもらったとき。1位がケンコバさん、2位が僕、3位が古田新太さんというすごいランキングがあったんですけれど、そのタイトルが「デブセクシーランキング」っていうね!(笑)

ケンコバ:そうでしたね!うれしいくくりでした(笑)でも我々芸人の世界や、古田さんみたいな舞台の人たちの世界ではアリだと思うんですけれど、遥か昔からミュージシャンの世界って、太るのはルール違反みたいなところあるんじゃないですか。大丈夫だったんですか?

RYO-Z:いや、ラップだから大丈夫だと思います(笑)。

ケンコバ:なるほど!(笑)確かにラップは昔から、デカイ人多いですもんね。

RYO-Z:ラップはすごくハードルが低いんです。デブ・チビ・メガネ、なんでも特徴がある方が良いようなところがあって。うちのメンバーにも全員います。鷲鼻もいますね。それに楽器も覚えなくて良いし、とにかくハードルが低いんです。

ケンコバ:初期投資がいらないんですね。

RYO-Z:そうなんですよ。クラブに行ったらそこでマイクが握れて、遊びに行くところが舞台になる。初期投資がないというのは、この世界に入るきっかけのひとつでもあったと思うんです。ケンコバさんは、どうして芸人を目指したんですか。

ケンコバ:僕はすごく恥ずかしいんですけど、ジャニーズっぽいんですよ。

RYO-Z:誰かが履歴書送った、みたいなやつですか?

ケンコバ:実はそうなんです(笑)中学時代から「漫才師になる」って言っていた幼馴染に昔から誘われてたんです。高校が別になっても「漫才の本書いたから見てくれ」ってうちに持ってきて、高校卒業してバイトを始めたらそいつも一緒のバイト入ってきて……。「お前と天下取る!」とか言って恥ずかしかったんですけれど、そいつがきっかけです。

RYO-Z:その方は今どうされているんですか?

ケンコバ:公務員してます。でも、そいつには感謝しているんですよ。僕の将来の夢は、小さいときになりたいと思ってたプロレスラーくらいで、履歴書も送ったんですけれど身長規定で落とされてずっとやりたいことがなかったんです。父親の教育で「お前がプロレスラーになって、ブッチャーのこの黒い軍団を潰せ」って言われてたんですけどね。

RYO-Z:お父さんが熱狂的だったんですね。

20代はこわいものなし(笑)。30代でやっと止まれるようになって、40代になって上の人たちを手本にできるようになりました。—ケンコバ

ケンコバ:芸人の世界は、20代で食える人ってほぼいないんですよね。だけど、未だに戻りたいです。あの頃は、「無茶苦茶してやる」って気持ちで、目も釣りあがってたと思うんです。20代のときだから自分もそれで怖くなかったし、「楽しかったな」って記憶がすごくあります。30代になったくらいから、「ちょっと待て」とやっと思えるようになりましたね。ちょうど昔の自分と同じような20代が出てきて、爪痕残そうとするわけじゃないですか。今は、そういうときの司会者の冷や汗とかも見えてくるわけですよ。「なるほど俺はこんなに迷惑なやつだったのか」と(笑)。10年間も迷惑をかけながらやってたんだ、ってやっと思えるようになったんですよね。不思議と30代から飯も食えるようになってきて、40代になって上の人の仕事をじーっと見て、「自分がやってない仕事をいっぱいやってるんだな」って、やっと人のことを手本として観察できるようになりました。

RYO-Z:そうなんですね。僕らは20代中盤で今の会社と契約して、働き方がガラっと変わりました。いわゆるインディーズからプロになった転機でしたね。ケンコバさんは40代になった今、目標にしている方とかいらっしゃるんですか。

ケンコバ:いますよ、僕はやっぱり関根勤さんですかね。この人は全体のバランスもとってるのに、自分の好きなことばっかり言うなっていう……。なのに場を汚さないという、奇跡のテクニックの持ち主ですね。

RYO-Z:僕も関根勤さん、大好きです!出川哲郎さんもすごいですよね。

ケンコバ:出川さんは今でこそ全世界的な評価ですけれど、僕らからしたら神みたいなもんですからね。出川さんと上島竜兵さんがいなかったら死人出てますよ。年末年始に体当たり系の仕事が増えるんですけれど、出川さんが怪我しないように注意すべきことを教えてくれるんです。「こう、受け身をとれ」って。

RYO-Z:かっこいいですね〜。

ケンコバ:そういう人いますか?

RYO-Z:僕たちの中で金言と思っている言葉があるんです。「好きなことはいつでもできるから、その年のあなたは新しいことをしなさい」って言われたんです。真心ブラザーズのYO-KINGさんに、FUMIYAがもらった言葉なんですけれど。

ケンコバ:それは!金言中の金言、ですけれど、「明日からしんど!」ってなりますね(笑)

RYO-Z:そうなんですよ(笑)でも、この言葉があったからしんどいことも前向きに乗り越えてこれたんですよね

<INFORMATION>
■RIP SLYME
RYO-Z、ILMARI、PES、SU、DJ FUMIYAの4MC+1DJで構成される日本のヒップホップグループ。
Official Site : http://www.ripslyme.com/
Twitter : https://twitter.com/ripslyme_com
Instagram : http://Instagram.com/rip_slyme
RYO-Z Twitter : https://twitter.com/ryoujinarita

■ケンドーコバヤシ
1972年、大阪府大阪市生まれ。吉本総合芸術学院大阪校11期生。コンビを経て、2000年代からピン芸人として舞台で活躍。その守備範囲の広さと造詣の深さでディープなお笑いスタイルを確立する。『にけつッ!』(読売テレビ系)、などのバラエティ番組で活躍中。
https://profile.yoshimoto.co.jp/talent/detail?id=651

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