【栁 俊太郎】YOUNG GENERATION
第一線で活躍する “ミレニアル世代”の表現者にスポットライトを当てる。
何に悩み、どうそれを乗り越えるのか。
今学ぶべきことは、先を行く者の中にあるものだ。
記念すべき第一回目は、メンズノンノモデルとしておなじみの“栁 俊太郎”。
数多の人気映画・ドラマに出演し、俳優としても着実にキャリアを積んでいる彼に、仕事への向き合い方、困難の乗り越え方を語ってもらった!
「写真は私たちが撮って、書類も私たちが書くから」って
ーよろしくお願いします
よろしくお願いします。
ーそもそもどうしてメンノンモデルをやろうと?
僕、バレーボール部にいて、最後の大会で左足のすねを骨折して出れなかったんですよ。結局、県準優勝だったんですけど全国大会には行けなくて。出れなかったことで燃え尽きなくて。
それで、その時たまたま、母と姉がメンズノンノの読者だったんですよ。「あんた身長高いんだし、別に勉強ができるわけでもないんだから、ちょっと応募だけしてみなさいよ。写真は私たちが撮って書類も私たちが書くから。写真撮らせて!」って言われて、「じゃあいいよ」って。それがたまたま編集者の目に止まって、デビューすることになったんすけど。
ー初めてのモデル経験はどうでした?
割とすぐ慣れました。良い人たちばっかりだし。なんか、ゆるーいんですよね、現場が。多くのモデルが大学生だったり、高校生だったりして、僕も当時高校生だったのですんなりいきました。
だから緊張とかは、割とすぐに無くなっていきました。
「なんだ坊主、ふてくされた顔して!」って言われて
ーどんな時にやりがいを感じる?
ずっと写真コンプレックスだったんですよ。映るのが。
小さい頃に、母親と神社を二人で散歩してたら、向かいから来た知らないおっさんに、「なんだ坊主、ふてくされた顔して!」って、すれ違いざまに。その時の母親の顔をすっげー覚えていて。未だに。5歳くらいだったんですけど。スゲー母親ショック受けた顔してて。「え、なんで楽しそうに散歩していただけなのに。あたしの息子はそんな顔してるのか…」って。そう、あの母親の顔がすごいショックで。「俺ってそんな顔してるのかなって」思って、そこからずっと写真映るのが嫌だ嫌だ言ってたんですよね。集合写真とかもなんか下向いたりしてて。
そんな奴がメンズノンノのモデルになるなんて不思議ですけど。
でも、なんか、そういうのもあって写真が色々な人に見られるっていうのはホント、やりがいを感じるっていうか。
赤いデニムに、赤いパーカー。髪長くて。胸毛生えてて。あの画面で観る浅野さんが階段から降りてきた
ーその後、俳優業にも進むわけですが、どのような経緯で?
メンズノンノの仕事で、浅野忠信さんの洋服を僕がモデルで着るっていう仕事があって。
で、そのスタイリングが浅野さんだったんですよ。僕、結構映画は昔から観ていたんで、もちろん浅野さんの存在も知っていて。ミーティングルームみたいなところで待っていたら、階段から誰か降りてきて。上下真っ赤、赤いデニムに、赤いパーカーをジップあけて。で、当時浅野さん髪長くて。胸毛も、今もそうですけど胸毛生えてて。あの画面で観る浅野さんが階段から降りてきたときに「うわ、かっけぇな」と思って。
表に出る仕事してるし、モデルで、映画好きだし、じゃあ俳優とか面白そうだなと思って。浅野さんにお願いしたんですよね。事務所入れてくださいって。そしたら「ああ、じゃあいいよ」って。
俳優の現場をしばらくやって久々にモデルの現場戻ると、動き方わかんなくなって
ー同じ表に出る仕事とおっしゃいましたけど、
モデルと俳優の違いってあります?
動き方とか、全部違うんですよ。流れが。モデルの場合は服を見せなきゃいけないとか。色々な条件があるんで。そこは考えなきゃやっていけない職業だし。もう一人の自分がカメラの横にいて、そこからこう見られてるみたいな、俯瞰で自分を見てなきゃいけないんですよね。それを考えながら動けるようになったのは結構時間かかりましたね。
俳優はやっぱり気持ちとか、感情の部分がすごい大きく左右するんで、その感情に沿って体がそっち向いちゃったら俺はそれでいいと思ってるんで。でもモデルはそうじゃないんで。モデルから入った僕が、俳優の現場でモデルの意識を完全に取り払うっていうのは、すごい苦労するというか。だから俳優の現場をしばらくやって久々にモデルの現場戻ると、動き方わかんなくなって。苦労するんですよ…。
だから、それぞれ難しいところありますけど。考え方が違うんで。それはそれで楽しいんですけどね。
いつも出来ないし。一生多分、
俳優続けてるうちはこれの繰り返しなんだろうなって
ー仕事で壁にぶつかったことはある?
常に考えて、次の現場ではこうしようって思うんだけど…、いつも出来ないし。出来たと思っても出来上がり見ると全然出来ていなかったり。
一生多分、俳優続けてるうちはもうこれの繰り返しなんだろうなって思うんです。
ー逆に手ごたえのあった作品はありますか?
一番出来上がりで気に入ったモノだと、ショートフィルムなんですけど台湾と香港で15分くらいの作品を撮ったんですよ。カード会社のライフカードのショートフィルムなんですけど。その作品はすごい好きでした。現場は超辛かったんですけどね。もう、常に走ってるし、怪我もしてしまって。でもまぁ時間ないから撮らなきゃいけない。天候も凄くて…気温が40度くらいあったんですよ。湿度も日本より全然高いし。意識朦朧としながら撮った作品なんですけど。だから細かいことを考えてなかったと思うんですよね。でも、それでも出来上がりを観たら、すげぇ美しい作品だなぁと思って。
だからね、何が正しいのかさっぱりわからないんですよ。まぁでも常に探究するってことは大事だと思いますけどね。
色々なものを準備していって、引き出しを多くしておくと、色々なことが出来るっていう、一つの自信にはなると思うんですよね
ー壁を乗り越えるのに必要なモノは?
それ僕が聞きたいんですよね…。俺ホント緊張しいで。よく寝れなかったりするし。ほんとそれ知りたいです。いつでも崩れそうな心境のまま現場に行くこともよくありますけど。でも、それが悪いとも思わないんですよね。完璧な精神状態のままがいいかって言われたら、わかんないんですよ。
さっきも言ったように、ショートフィルムの撮影なんてよくわかんない状況だったけど、出来たものを観た時にいいなって思える作品が出来たってことは、崩れそうな心境で良かったのかもしれないとも思えますよね。
でも、やっぱり練習を重ねて色々なものを準備していって、引き出しを多くしとくと、色々なことが出来るっていう一つの自信にはなると思うんですよね。
だから、準備じゃないですかね。
あのコのこと好きだからデート誘いてぇけど…。
この仕事が終わったら、ちょっとアプローチかけてみようか、とか
ー仕事とうまく向き合っていくには?
僕の場合結構、モチベーションを保つことがすごく重要だと思っていて。映画が好きだから俳優っていう職業がずっと好きでいられるかって言ったら、それはわからないですよね。なので、私生活の中でどれだけモチベーション高くいられるか。その、モチベーションを高くキープする方法を自分なりに見つける事が出来れば、うまく仕事と向き合えると思います。
例えば、あのコのこと好きだからデート誘いてぇけど…みたいな、そう思うだけで、結構気分上がったりして。この仕事が終わったら、ちょっとアプローチかけてみようか、とか。なんか、そんなちょっとしたモチベーション。
でも、それが結構邪魔したりしましたね、過去。
ーモチベーションは上がったけれど、逆に仕事に支障をきたした
そう(笑)。
■やなぎしゅんたろう
1991年5月16日生まれ。モデル/俳優。宮城県出身。
2009年、第24回MEN’S NON-NOモデルグランプリを受賞し同誌モデルデビュー。
人気メンズファッション誌MEN’S NON-NOの専属モデルとして人気を博す。
モデル業と並行し、2011年俳優デビュー。近年多数の映画・ドラマに出演し、俳優としても注目を浴びる存在となってきている。インフォメーション
映画「チェリーボーイズ」(東映ビデオ/マイケルギオン)が絶賛公開中。
ドラマ「オー・マイ・ジャンプ! ~少年ジャンプが地球を救う~」(TX系、毎週土曜0:12~0:52)出演。Instagram
@shuntaroyanagi
PHOTO:HISANORI SUZUKI
TEXT:ANDO