McGuffin

CULTURE VIDEO MAGAZINE FOR YOUTH

【PAELLAS】YOUNG GENERATION

第一線で活躍する “ミレニアル世代”の表現者にスポットライトを当てる。
何に悩み、どうそれを乗り越えるのか。
今学ぶべきことは、先を行く者の中にあるものだ。

今回は音楽感度の高い若者たちから支持を得ているバンド“PAELLAS”が登場。
AORやアーバンソウルなどを独自の解釈で楽曲に落とし込んだ
シルキーなサウンドが魅力の彼ら。年々、活動場所を増やし
パワーアップし続ける“PAELLAS”の4人に、
仕事への向き合い方、困難の乗り越え方を語ってもらった。

 

大学生の頃、bisshiと2人で曲を作り始めたのがターニングポイントだと思う


ーPAELLASの結成のきっかけやターニングポイントを教えてください
MATTON:学生のときにbisshiと結成して、ターニングポイントがあるとしたら卒業するときに当時のギタリストとドラマーが抜けて二人になったときじゃないですかね、多分。ちゃんと大学入れてもらって卒業したのに働かないで、しかも2人になってからちゃんとやりだすという。

bisshi:そうだね(笑)。

MATTON:そこで2人になって楽曲を作り始めたのがターニングポイントかなと思います。まあそこからもいろいろあるんですけど。今に繋がっているのかなって。

ー逆に2人になってからエンジンがかかった?
MATTON:エンジンがかかったというか…。

bisshi:曲をつくることしかやることがなかったんですよね。

MATTON:ライブは出来ないし、インターネットに曲をアップしたらいろんな人が聴いてくれるらしいな、くらいのぼんやりした知識というか。じゃあ、曲を作ってみようかって考えて。そのころパソコンがあったら曲も作れるような時代になっていたので。
パソコンで作ってたんだっけ?そのころから。

bisshi:うん。その前はもっと大きいMTRって機械で作ってたんですけど、ちょうど大学卒業のタイミングでパソコンを買いました。2人で曲を作り始めて、そこから意識が結構変わりましたね。

 

壁を毎回越えていくことを考えて活動していく

ー1年前に比べて露出が多くなったイメージがありますが、
みなさん、気持ちや環境の変化はありましたか?

MATTON:自分たちが作った楽曲や投げたものに対してのレスポンスが多くなったことですかね。素直に嬉しいなと思います。普通に生活していて変わったことは特にないかな。

Anan:本当に関心をもってくれている人が増えたなって。それはライブやお客さんを前にすると実感するし、SNSを見ても実感するし、前よりもちょっと気にしてくれているんだなって。そこはすごく変化がありましたね。

―逆にバンドの規模が大きくなって、困難とかぶつかっている壁はあったりしますか? そういった場面をどうバンドとして乗り越えていっていますか?

MATTON:作品を作ることもそうですし、ライブをやることもそうですけど毎回が壁なんじゃないですかね? みんな個人にもあるし、全体でもあって、それを毎回越えていかないといけないって気持ちはあると思いますね。みんなもそうじゃない?

Anan:割とみんなハードルが高いので…。やってないこと、できないことを次できるようにやるっていうのを意識していますね。でもその分悩んだりっていうのはありますけど。

MATTON:みんな同じこと毎回やりたがらないので、なんか新しいものをやりたい。でも新しいものを作っちゃうとそれが毎回壁になるので…。

―新しいことやるということに難しさを感じているんですね。

Anan:そうですね。あと何を選択するかですかね。選択肢も多いので何を選択して一番自分たちがやったらカッコいいのかの選別を鋭くやっていかないとカッコよくないと思うのでそこが大変ですね。まあそれが決まってからも大変ですけど。そこまでいくのが難しいかなって。

Ryousuke:やりたいことやっているので辛いとかはないですけど、常に上を目指してやっていかなきゃいけないので。特にプレイヤーとして。曲を作るのはみんなでやっていて、個々はプレイヤーとして上にあがっていかなきゃいけないので、そういうところを持続するのが大変なんじゃないですかね。

bisshi:あとは時間との戦いというか。アーティストは職業として忘れられるっていうのが一番怖くて、作品を繋がなきゃいけない。ライブするのもそうですけど。その時間の使い方が大事だなって思っていて。苦しいとかではないと思うんですけど。それに追いつけるように頑張っていますね。

 

1年後、5年後、10年後、20年後。何もわからないから不安になるときもある

―MATTONさんはボーカルとして世間の期待が大きくなるほどプレッシャーや背負ってるものの責任とか感じることはありますか?

MATTON:もちろん表に出ることになるので、それに対しての自分がやっていかなきゃいけないっていう意識はありますけど、言っちゃえば明日どうなっているかわかんないっていうか、じゃあ1年後・5年後・10年後・20年後のことなんてわからないので。そういう不安みたいなものはみんなあるんじゃないですかね? 別にそれは自分だけじゃなくて、メンバーや音楽をやっている人みんな。それを仕事にできている人みんな思っているんじゃないかなと。僕たちに関しては上がり続けていかなきゃいけない難しさも分かっていますし、それに対するプレッシャーはありますね。

―それに対して乗り越えていこうという感覚はあったりしますか?

MATTON:乗り越えていきようがないから…。ライブの舞台が大きくなったり、ステージが上がっていくにつれてその都度やっていくしかない。やれると思っているし、そのときにしっかり勇気をだして超えていくしかないということじゃないですかね。未来がどうなっているかという不安は乗り越えられるものではないかなと思います。

 

今の世代のシーンっていうものには括られたくない

―同世代のバンドやアーティストが多い中、世代で括られることも多いと思うんですけど、同世代に対して意識していることとか、感じていることはありますか?

Ryousuke:僕たちに関してはないんじゃないですかね。他のバンドがこういうことやるから、僕らもこういうことしようとかはないです。ライブの仕方もプロモーションの仕方も。もちろん仲良くなることもありますけど、あいつらに負けないようにっていうのはそこまでないです。

MATTON:今の時代を生きていたら普通にこういう音を出すでしょって感じでやっているだけだと思います。だからなにかしらの空気はたぶん同じものがあるだろうし、聴いてくれている人たちも同じ空気みたいなものを感じて僕らと他のバンドを並列に聴いているのかなって思います。でもなにか共通点があるかっていうと難しいし、昔より音楽のジャンルの幅が増えているから、一緒にやっていこうっていうのも難しいですよね。

Anan:それこそ3年前とかはみんな同じハコでやって、みんなでどんどんビルドアップしていこうみたいな感覚があって。でも今はいろんなバンドが違うメジャーのレーベルや違うフィールドでライブをやったりしていて、干渉しなくなったていうか、前は自然と距離が近かったから楽しいみたいな感じだったけど今はシビアにやっていてみんな個々に頑張ってる感じ。

MATTON:みんなプロとしてやっているんですよね。今残っている人たちはそれぞれ色があるから。それにやってる自分たちが一番括られたくないので、今の世代のシーンみたいな括りに。違うのにな~って思いながら、みんな各々自分たちのカラーを確立してやっているのかなって思いますね。

 

漠然とだけど、もっとバンドを大きくしていきたい

―今後の“PAELLAS”の展望について教えてください!

MATTON:もっとバンドを大きくしていきたいっていう漠然としたものしかなくて。1年前までツアー回れるって考えてなかったから。行けるところまで大きくなりたいっていう。それと自分たちにウソをつかずにカッコいいことやるっていうことを両立しながら、バンドが大きくなるために何をするべきか、もっと広く聴いてもらうために何をすべきかってことを考えながら自分たちにとってのウソじゃないカッコいいものを作ることですかね。

Ryousuke:直近で言えばフルアルバムをリリースして、できればワンマンでツアーを回りたいですね。

 

やりたいことがある人はラッキー。やりたいことがあるって時点で得だから

―最後にMcGuffin視聴者へアドバイスをお願いします。

MATTON:やりたいことがあるんだったら絶対やったほうがいいし、人生は1回きりしかないから。誰かのために生きるのも大事なことだと思うんですけど、結局は自分のためにやるしかないと思うので。とりあえずやって、いざってときには、勇気出してやるしかないんじゃないですかね。ずっと、勇気出し続ける人はいないと思うから。

Ryousuke:でもやりたいことがある人はラッキーですからね。やりたいことがあるって時点で得なんで。やってみるっていうのが大事ですよね。あと、失敗を恐れずにっていう人がよくいるじゃないですか。僕は失敗は恐れたほうがいいと思うんですよね。怒られるのも嫌ですし、失敗を恐れながら生きる方がいいんじゃないですかね。何かを頑張るために、失敗しないように。それで結果、失敗したら、へこめばいいと思います。

MATTON:僕らって普通なんですよ。他のアーティストやスポーツ選手とかもそうですけど、そういう人たちもやりたいことだけを突き進んで、その思いだけでやってきた人なんてほとんどいないと思うんで、その中のどのタイミングで勇気を出すかにかかっているんじゃないですかね? 僕らみたいな普通の人間がやりたいことをやりながら生きていくためには。

<CREDIT>
■パエリアズ
MATTON(ボーカル)、Satoshi Anan(ギター)、bisshi(ベース)、Ryosuke Takahashi(ドラムス)の4人組バンド。
2014年に上京し本格始動。様々なサウンドを落とし込んだ楽曲は音楽感度の高い層から絶大な支持を得ている。
Instagram @paellas_band
Twitter twitter.com/PAELLAS_band

公式サイト
paellasband.com/

PHOTO:Hisanori Suzuki
TEXT:Shunsuke Sasatani