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CULTURE VIDEO MAGAZINE FOR YOUTH

“RIPPLES 〜1990-199x〜”
若者たちが描く未来の音楽
(前編)

Prologue

「若い世代のアーティスト達から未来の音楽・カルチャーシーンを発信する」

これは、日本最大の音楽番組専門チャンネル、スペースシャワーTVと
東京のFMラジオ放送局、J-WAVEがタッグを組んで開催するイベント
“RIPPLES”のメインテーマである。

SANABAGUN. with Kan Sano、Ryohu from KANDYTOWN、踊Foot Works、Licaxxx。
3月に行われた初回公演に引き続き、
10月11日に開催された第二回公演に集った面々も、
新世代を牽引するアーティストばかりだ。

今、この強力な老舗2メディアが一緒になってイベントを開催する理由は何か、そこに若い才能、感度の高いオーディエンスが集まるのはなぜなのか。

我々はLIQUIDROOMで行われた同イベントに潜入し、
テーマである“未来の音楽”というフレーズを軸に、
主催者、アーティストの2方向からその真相を探っていくことにした。

前編は主催者インタビュー、後編はアーティストインタビューの構成でお送りしようと思う。

VOICE1:日浦潤也(J-WAVE)& 栗花落 崇(スペースシャワーTV)

■単純に遊べる場があればいいよね、って

—このイベントを始めようと思ったきっかけを教えてください

日浦:きっかけは、栗花落さんとお酒を飲んでいたときにそういう話になったのが最初ですね。
最近若い人が遊べる場が無いよね、とかフェスは多いけど、
どれもしっかり作られすぎてない? そんな話をしていたような気がします。
単純に遊べる場があればいいよね、って話でしたね。

栗花落:そうやね。
定期的にあそこに行けばお酒を飲みながら、
音も楽しめて過ごせる場が作れたらいいのになって話をしていました。

—スペースシャワーTVさんとJ-WAVEさんはもともと仲が良かったんですか?

日浦:働いている人たちはちらほら交流があると思うんですけど、
そんなにガッツリ絡んだことは無くて。
ただ、お互いに関わっているアーティストや紹介しているアーティストは
すごく近かったりというのはあったりで。
立ち上がった年も、今年J-WAVEが30周年で来年スペースシャワーTVが30周年と近いですし、あとお互いに会社の場所も六本木だし、
物理的にも近いんですよね。そんななかで栗花落さんと仲良くさせていただいて、飲みに行く中でやりましょう!という形にまとまりました。

—イベントに関してお互いの立ち位置は?

栗花落:どういうアーティストさんに出てもらうかは、お互い打ち合わせをしていく中で決めています。
展開の仕方で言うと、当日のイベント映像はスペースシャワーTVで放送して、
それの宣伝やフォローをしているのがJ-WAVEのSONAR MUSICという番組ですね。

—イベントを考えているチームは何人体制なのですか?

日浦:4人ですね。お互い2人ずつで基本話し合って考えています。
年齢層は、みんなアラフォーです(笑)。

栗花落:ただ、若い人の考えを入れたいので、ミーティングなんかでは社内の若い人間を集めて聞いたりしていますね。

■本当はカルチャーを若い人たちに届けるという事も僕らの使命なんですけど

—若い世代にテーマを絞っている理由は?

日浦:J-WAVEってリスナーの層が年々上がって行っているんですよね。
良い事でもあるんですが、そこばかりに気を配っていると、
紹介するアーティストも年齢層が上がってきてしまうんです。
若い世代を拾うって狭い面積でしか出来てないので、リアルなイベントも重要になってくるのかなと考えていました。スペースシャワーTVもそうですよね?

栗花落:スペースシャワーTVは有料のチャンネルだったりするので、
登録者層って年々上がっていっているのが現状です。
本当はカルチャーを若い人たちに届けるという事も僕らの使命なんですけど、
でも、そういう人達があんまり観られる環境にいないっていうのがあったりするので、そこを変えていかなきゃいけない。
最近、若いアーティストでも色々な音楽を聴いてきて、
それを自分なりの形で発信している面白いタイプのアーティストも増えてきているので、そういうシーンの人たちをもっと紹介して、一緒に盛り上がっていけるようにしたいという考えもあります。

—出ているアーティストの選定基準は何でしょう?

日浦:ひとつは90年以降生まれのアーティスト。
毎回イベントの中心になるようなアーティストを一組決めて、
そこから他はどういうアーティストが親和性高いか、
なんてことを考えて決めていますね。
それをパッケージとして出して、そこに若い人が来てくれればいいなって思っています。
トリが誰とかではなくて、RIPPLESというイベントに来てください!という感じで作っていますね。

—デザインや出店なども若い世代がやっていますよね?

日浦:そうですね、出演アーティストもそうですが、
ポスターなどのビジュアルデザインから出店するお店まで、
そこも90年代以降の人にやってもらおうというコンセプトがあるので。
ポスターに関しては前回はトウヤメグさんがデザインしてくれて、
今回はサマーハウスさんにデザインをお願いしました。

—出店するお店に関しては?

栗花落:スペースシャワーTVのイベントでよく出店しているGOOD VIBES NEIGHBORSのお店中心に集めています。
彼らも20代が多く、テーマに合うてると思います。
オフィシャルのカメラマンも小宮山 峻さんにお願いしていたり。

日浦:なんとなくみんなで共有している雰囲気があって、それに合っているお店を集めていますね。

栗花落:ライブだけではなく、カルチャー的な側面も含めて過ごしてもらいたいという気持ちもありますからね。

■いいイベントがたくさんあるんですけど、
どれに行けばいいか分からないっていう人が多いと思うんです

—このような遊び場を作るにあたって、
今の若い音楽シーンってベテランのお二人から見てどう考えてますか?

栗花落:音楽シーン全体に関していうと、
ジャンルの概念がもうすでに無くなっていると思いますね。
J-POPも差別無く聴いていたり、昔の洋楽に詳しかったりするし。
若いアーティストの音を聴くと、みんな色々な音を持っていて
面白いなと感じることが多くなりましたね。

日浦:ユーザーの立場からすると今の時代ってイベントがものすごく多くて。
僕らの先輩や僕ら世代って、どこか特定のお店に行けばそこにいい音楽が集まったり、いいミュージシャンが集まったりっていう、
今より限定されていたと思うんですよね。
今はいいイベントがたくさんあるんですけど、
どれに行けばいいか分からないっていう人が多いと思うんですよね。

—このイベントに来てどんなことを感じて欲しいですか?

日浦:もちろんライブメインですけど、会場全体を歩いてほしいなって思います。物販や飲食などRIPPLESとしてワンパッケージで楽しんでほしいです。

栗花落:少しでも飲める人は飲みながら観てくれたらいいですね。
音楽の字の通り音を楽しんで欲しいなと思います。
そうなったら、きっとお腹も減って2Fに上がって食べてもらって。
気分良くなってきたら他のお客さんと話したりできたら理想ですね!

—最後にテーマでもある“未来の音楽シーン”とは
どのようなシーンだと考えていますか?

栗花落:それぞれのシーンできちんとスターがいる。
スポーツでもテニスなら錦織選手や大阪選手が出てくるだけで、
一気に人口が増えるので、
そういう現象が起きて憧れる若者が増えればいいと思いますね。

日浦:多分、誰にもわからなくて、
ただ、次の世代を担っていくのは今日出ている彼らなので、
彼らが集まって何かをすることで、
その先に何か起こるヒントが僕らも見えたらいいなと思っています。

To be continued

日浦氏の言葉にあるように、
次の世代を担うアーティストたちのひとつひとつの行動が、
未来の音楽に繋がっているのかもしれない。

という訳で後編は出演アーティストたちに
“未来の音楽シーン”について語ってもらうことにする。

続きは後編へ!

<CREDIT>

■RIPPLES
スペースシャワーTVとJ-WAVEによる、
1990年以降生まれにフューチャーしたミュージック&カルチャーイベント。
https://www.instagram.com/ripples_jp/

■日浦潤也
J-WAVE MUSIC所属
J-WAVE(81.3FM)では、「SONAR MUSIC」などの番組プロデューサーを担当。

■栗花落 崇
スペースシャワーネットワーク所属
スペースシャワーTVにて番組を始めとした様々な企画を担当。

PHOTO:Takahiro Kikuchi
TEXT:Keita Ando