McGuffin(マクガフィン)

“RIPPLES 〜1990-199x〜”
若者たちが描く未来の音楽
(後編)

 
Prologue

「若い世代のアーティスト達から未来の音楽・カルチャーシーンを発信する」

 
スペースシャワーTVとJ-WAVEがタッグを組んで開催するイベント“RIPPLES”。McGuffinはテーマである“未来の音楽”というフレーズを軸に、主催者、アーティストの2方向からその真相を探っていくことにした。

 
前編では主催者の栗花落氏、日浦氏にインタビューを行った。
今回、後編では出演アーティストたちから
“未来の音楽シーンと現在の音楽シーン”について
自身の思いを語ってもらう。

 
 
VOICE1:出演アーティストの考える音楽シーンの未来とは?
(SANABAGUN.、踊Foot Works、Ryohu、Licaxxx)

 
 
Artists 1   SANABAGUN. (岩間俊樹、高岩 遼)

—お二人にとって“未来の音楽シーン”とはどんなイメージですか?

岩間:もっと、ちゃんとした人が増えているシーンがいいですね。
今は流行り廃りが早かったりするので、そういうライトな感じじゃなくて、
きちんと自分たちがやりたいと思っている音楽やカルチャーを
やり通している人達が残っているシーンがいいなって。
本物が残っているシーンがあったらいいですね。
それでお金がきちんと回る座組ができれば素敵だと思いますね。

高岩:まあ、今かなりその、AIだったり、より身近に音楽が感じられる時代に突入して、デバイス自体もアップデートされていく訳じゃないですか。
そういう中でミュージシャンは生き残っていかないといけないので、
時代に合わせていくってことはかなり大事だと思うんですよね。
サブスクリプションに特化して何かをしていくとか。
とはいえ、俊樹の言うように、常にオリジナルでいるやつらが
残っていくんじゃないかなと思いますね。
あと、とりあえず宇宙は行きたいですね。

—では、“今の音楽シーン”についてはどう思っています?

高岩:高岩は自分のバンドと自分にしか興味が無いので、
あんまり現状のシーンに対してはどうのこうの思わないですね。

岩間:とにかく流行り廃りが早い。
なんか聴かなくなったよね一年前に流行ってたヤツ、とかすごい感じますね。

 
 
 
 
Artists 2  踊Foot Works

—それぞれに皆さんにとって“未来の音楽シーン”とはどんなイメージですか?

Pecori:10年後ってだいぶ未来になっていると思うんですよ。
車が飛んでいると思っているんで。
そう考えていくと、
人間の構造自体をアートにしたいっていう気持ちもあるんですよね。
思っていることを自分で体現する事も重要だと思うんですけど、ではなくて、
内側から、相手の脳内に音楽を沸かしたい。SF的ですけど。
未来的にはそのくらい大きく成長しててほしいなって思いますね。

SunBalkan:Pecoriの話に被ってくるところがあって。
10年先って、AIが結構話題じゃないですか。
自分の好きな感覚をAIに伝えたら、提案してくれて、
それを好きになってしまうと思うんですよ。
パリの美術館にある作品とかって、あれ数式に基づいて描いてあるんですよ。
人間の感性だけに基づいているモノではなくて、
式があって、黄金比率とかがあって。
音楽も同じで要素が数値化できれば人間が作る必要が無くなってきてしまう。
そういうことが目に見えてしまってきている。
すごく怖いことですけど。
なので、そういう数式とかAIでは作り出せないような人間らしさが
今以上に求められるようになってくるんではないかなって思います。
僕は前からそこを意識して音楽を作っています。

Tondenhey:未来はすべてのモノがくっついていくんじゃないかなって。
今でさえ、昔から聴いているポップスや演歌、ブラックミュージックなんか、
色々混ざって今の僕の感覚になっているので、
今後はより色んなものが融合して、
総合芸術的なモノになっていくんじゃないかなって思っています。

fanamo’:最初に言ったのはGiorgio Givvnさんなんですけど、
僕らの曲をミックスしながら“ヒューマンみ”って言ったんですよ。
人間味ではなくて、ヒューマンみっていうのは
また違う意味合いがあるんじゃないかと感じていて。
どういう解釈で言われたのかは、僕には完全に理解できてないんですけど、
オートチューンをかけながらもその中にヒューマンみがあるっていうのは、
電子音楽の中にも人間の心にダイレクトに届く何かが
大事にされていくのかなって思っています。

—逆に“今の音楽シーン”に何か感じていることはありますか?

Pecori:本当にリアルタイムに最近変わり始めたなって思ってきた最中で。自分自身が。

—どうして?

Pecori:結構前から思っていたのは、ラッパーだからラップしないといけないっていうのが無くなったっていうところがまずありますね。
ポップスとヒップホップが混ざって将来的には日本でもそういう混ざったヒップホップが主流になると思っているんですけど。
そこはやっとステージが上がったのかなって、日本の音楽シーンも。
YouTubeやストリーミングサービスで色々な若手聴いてても思いますね。

SunBalkan:僕はEDMとかが流行っていた時期から思っていたんですが、
こういうのをやればウケてしまう、
っていうのがここ最近顕著に出ているんじゃないかなって思います。

Tondenhey:総合芸術的になり始めているなって思うんですよね。
音楽が映像を含めた、色んな分野が融合していくような。
昔からあったことですけど、
よりすべてがくっついていくような気がしていて。
映像もファッションも。音だけで聴いて楽しむだけの時代じゃないなって。

fanamo’:僕は60年代くらいまでにしか遡れてないんですけど、
その頃から根本は変わってないんじゃないかなって思っていて。
メロディだったり。
例えばチャンス・ザ・ラッパーがゴスペルを基調としたトラックを作っていますよね。

今年売れよう、来年売れよう、じゃなくて、
多分何十年後にも残る音楽を作りたいと思っている人が多いと思うし。
シーン的に面白いのはアップルミュージックなんかで、
楽曲を聴いて良いなと思って、
SNSみたらフォロワーが何百人しかいなかったりとか、そういうアマチュアな人たちも、良いモノは並行して聴けるのですごく面白い時代だなと。
でも、日本のシーンとしては今ミュージシャンが食えないという問題があると思うんです。だから食えるような仕組みを作って、より若い世代が憧れるようになれたらいいし。
未来はミュージシャンが稼げるようになっていてほしいですね。

 
 
 
 
Artists 3  Ryohu

—Ryohuさんにとって“未来の音楽シーン”とはどんなイメージですか?

Ryohu:今日は俺の前と後にバンドのアーティストがいて、
俺はオケで、トラックで流すっていうヒップホップっぽいやり方ですけど、
逆にKANDYTOWNの時とかはクラブでやったりしているんですけど、
やっぱりお客さんの乗り方が全然違うというか。
ヒップホップをクラブに聴きに来ているお客さんは観に来ているというよりかは、その瞬間を楽しもうとしている人が多いと思うんです。

けど、今日みたいなイベントだとしっかり曲を聴きに来ているイメージ。
だけど、これからはそうじゃなくてもいいというか。
ガヤもあっていいし、もっとノってもいいのかなって思います。
お客さんにももっと表現してほしいと思っていて。
それが将来的にはヒップホップだけじゃなく、どんなジャンルにもあればいいと思います。
隣の人と楽しかったねって言い合えるような。
で、またそこで繋がって、どんどんどんどん音楽の話が膨らんで、
別会場であっても親しくなれるような、アーティスト同士、お客さん同士、人が繋がっていって、全員が純粋になれる場所になってほしいですね。

—“今の音楽シーン”についてはどう思われます?

Ryohu:若い人たちが作るモノがすごいカルチャー臭がすると思っていて。
大人になってくると色々な経験をして、
おのずと固まってくるじゃないですか。
純粋さというか、ただそれだけという感じで音楽をやっている。
そういう人たちを拾えていたり、評価できている気がしますね。
個人的にですけど最近は“the hatch”っていうバンドがすごいエネルギッシュで良いなと思いました。

 
 
 
 
Artists 4  Licaxxx

—Licaxxxさんにとって“未来の音楽シーン”とは?

Licaxxx:未来ってどこまでの未来を言うのかわからないですけど、
近々、向こう5年とかの話でいうと、同世代でやっている音楽の形が
今までの5年でメジャーっぽいって言われていた音楽と違うと思っていて。
そういう音楽を背伸びして聴きに来てくれる人がちょっとずつ増えていると思うので、それがもっと大きくなるんじゃないかと思っています。

90年代もそうですけど、それこそアシッドジャズとかラウンジ系だったり、
バンドはバンドでゆらゆら帝国とかNUMBER GIRLが流行った、
みたいな時代があったと思うんですけど。
そういう時代がまた来ているんじゃないかなと思っていて。
オルタナティブな音楽がまた大きくなるんじゃないかなと思いますね。
と、同時にそれぞれ結構バラバラでちょっとずつ流行っていくみたいな、
全員が全員国民的になるっていう感じじゃなくて、
今まででいうと中くらいの規模のヤツがいっぱい出来ていって
多様化したまま進んでいくんじゃないかなと思っています。

—中くらいの規模感の音楽って今で言うと、
どのようなジャンルやシーンだと思います?

Licaxxx:うーん、そうだな。
前回、今回、このRIPPLESに出ているようなバンドとか、
私のようなDJ、クラブミュージック側の人たちですかね。
全員に受け入れられるような和声的な手法が使われていないモノ。
肉体的に盛り上がってしまうモノとは少し違う、
頭で一度考えて聴くような音楽、
そういうモノなのかなって思います。

—“現在の音楽シーン”に関してはどのように感じていますか?

Licaxxx:でも、ここ3~4年は楽しいですけどね、個人的には。
その前とは全然違いますね。
今は同年代で近い世代で同じフェスやイベントに出ていると思うんですけど。
そうなる前はジャンルが違ったら会わなかったですし。
バンドマンが集合していたようなイベントには行かなかったですし、交わりは無かったんですけど。

ダンスミュージックで言えばEDMが
すごい流行っていた時代だったんですよね。
その時は複雑性を面白がる風潮が無かったので、
みんなと一緒が良いということが重宝されていると私自身思っていたので
そこには入って行けてなかったですね。
そういうのが少し落ち着いて、今また聴いたことないモノ、
若い人たちがそれまで触れてなかった音楽に触れだしているのかなって思います。音楽はわからなくてもなんかカッコイイみたいなのとか。
そういうのが容認されるようになったのがここ3~4年かなと思っていて。

そこからは私たち世代のバンドなりDJなりが一気に一個上の所に出てきたことによって一緒の現場になって共演できたり、
そこで初めて同世代と出会えたみたいな。
今日ラウンジに出ているDJたちは私より下の世代なので、
そういう人たちが出やすい環境になっているのかとも思いますね。

 
 
Epilogue

前編で日浦氏が語っていた、“次の世代を担うアーティストたちのひとつひとつの行動が、未来の音楽に繋がっているのかもしれない“という言葉。

それを解にするならば、
多様化するメディアやAI、音楽のスタンスから業界を取り巻くシーン全体まで…etc. と次の世代のアーティストそれぞれが考える“未来の音楽シーン”とはアーティストの数だけあることに気づかされる。

未来はアーティスト自身にもわからない。

だからこそRIPPLESに参加し、
それぞれのアーティストから未だ見ぬ未来の音楽、カルチャーを感じながら、
自分であれこれ考えを巡らしてみるのもいいのかとも思う。

スペースシャワーTVの垂らした“シャワー”が、J-WAVEの“ウェーブ”となり伝播して “リップルズ=波紋”となっていくことを期待しながら。

<CREDIT>

 

■SANABAGUN.
ストリートにジャズのエッセンスを散りばめ個性とセンス重んじて突き進む平成生まれのヒップホップチーム。
これまで様々な人気バンドと「対戦」を行ってきた対バン企画「VS SANABAGUN.」を12月に仙台・東京・名古屋・大阪の4都市で開催。チケット一般発売中

 

■踊Foot Works
「もっとPOPをDOPEに、ずっとDOPEをPOPに。」
2020年型のグルーヴとポップネスをリプレゼントする、4人組バンド。

 

■Ryohu
KANDYTOWN、Aun beatz、ズットズレテルズ。ラッパーでありながら、DJやトラック制作も手掛けるアーティスト。

 

■Licaxxx
DJを軸に、ビートメーカー・エディター・ライター・ラジオパーソナリティーなど音楽にまつわる様々な活動を行う新世代のマルチアーティスト。

 

■RIPPLES
スペースシャワーTVとJ-WAVEによる、
1990年以降生まれにフューチャーしたミュージック&カルチャーイベント。
https://www.instagram.com/ripples_jp/

 
PHOTO:Takahiro Kikuchi
TEXT:Keita Ando

  •  (0)