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CULTURE VIDEO MAGAZINE FOR YOUTH

【PROVストアスタッフなどが語る】その道のローカルたちに聞く、横ノリカルチャーの現在。

2017年現在、世間は空前のスケートブームだ。

都内ではパークやランプなどのスケート施設も増設され、オリンピックの正式種目に選ばれるなど、大きな盛り上がりを見せているスケートボード。

はたまた世の中を取り巻く“横乗りカルチャー” の土台をつくったともいえる、最重要アクティビティのサーフィン。

“ボードに乗る”というシンプルなスポーツに対する、彼らの価値観やマインドに共通するものはあるのか。

ローカルなスケーターが数多く集う渋谷とオリンピックの正式会場にも選ばれたサーフィンの町、千葉県一宮町にて
いざそのシーンで生きる人たちに実態調査してみた。

写真:MORTARスタッフ はかせさん

“人見知りもなくなって、社交的な性格になった”

-SKATE/SURFINGを始めて変わったことはありますか?

まず普段着るファッションが変わりましたね。あと町を歩いていて、スケートできそうなスポットとか路面を無意識に探すようになっちゃいました。(スケーター/PROVショップスタッフしゅうさん)

生活リズムが昼夜逆転することもあるし、他を犠牲にしなければいけないこともある。例えば転んでケガもよくするし、バイトする理由もスケートアイテムが欲しいからとか。何もしてない時と比べたらスケート中心のタフな性格になりました。(スケーター/MORTARスタッフはかせさん)

靴にしろ服にしろよく破けるし、安いものを探すようになったね。靴は基本的にセール品を買うっていう(笑)。(スケーター/SUNDAYS BESTオーナー YOKさん)


写真:PENSION THIRD PLACE 田中さん

人見知りする癖もなくなって、社交的な性格になったと思います。子どもの時からサーフィン仲間の大人と触れ合う機会は多かったけど、サーフィンは上下関係がしっかりしてるのでマナーや敬語に関しては厳しかった思い出がある(笑)。
(サーファー/田中さん)

出身地の山梨県は海がないので、海に行く機会が増えたし、地元とは違う刺激を受けますね。(サーファー/よしきさん)

ファッションやアート、音楽などスポーツ以外のカルチャー面と結びつきの強いスケートでは、始めてからデッキブランドやスケートブランドといった外見にお金を消費する傾向が強くなるようだ。
一方、海というリラックス効果の高い環境が舞台のサーフィンでは、自然とオープンマインドな性格になっていく人が多く、内面の変化が生まれやすいことがわかった。

写真:SUNDAYS BEST

“小学生からおじいちゃんまで同じ波で楽しめるスポーツ。こんなアクティビティは他にない。”

-すばりそのスポーツの魅力を一言で言うと?

自由な部分ですかね。他のスポーツの場合だと、フォームが汚くても高得点がとれる選手が評価されるけど、スケートは同じ技をメイクしていても動きがかっこいい人だったり美的感覚で評価される点に魅力を感じます。(スケーター/MORTARスタッフしんやさん)

世界中にかっこいいヒーローがいっぱいいること。憧れの対象はそれぞれ違うけど、スケーターは技にしてもファッションにしても、かっこいいスタイルを持っているひとが多いよね。(スケーター/PROVストアマネージャー用松さん)

やっぱ、 “カッコイイ” しかないよね。スケート関連の映像にしろ、本にしろ、全部かっこいい。元々あるD.I.Y精神というか。かっこいいと思う奴は大抵スケボーしてるね(笑)。(スケーター/SUNDAYS BESTオーナー YOKさん)

写真:PENSION THIRD PLACE

小学生からおじいちゃんまで同じ波で楽しめるスポーツ。こんなアクティビティはサーフィンだけだと思う。(サーファー/まさりさん)

飲み会じゃ出会えない、海でしか出会えなかった仲間たちができたところ。(サーファー/よしやさん)

楽しいのはもちろん、海に入ることで自分自身を解放できるところ。体力は使うけど、精神的にリフレッシュできるから、終わった後はすごくスッキリした気分になりますね。ストレス発散にもなるし。今はサーフィン留学で海外に行く若い世代も増えてきているみたいですよ。(サーファー/田中さん)

やっぱり波に乗ったときの快感ですね。最初は波にのまれたり、夏の海場はサーファーだらけなので結局乗れないまま1日終わったりしてましたけど。(サーファー/よしきさん)

スケーターが求めるものは “自由” 、そして常に “クール”であることに対してサーファーは”リフレッシュ”できて幅の広い出会いがあることに大きな魅力を感じている。

写真:PENSION THIRD PLACE

“how toを教えてくれる人がいないと始めにくい。”

-デメリットな部分はありますか?

次世代のスケートボーダーが登場している今、僕も気づいたら28歳で若くないなと感じます。体力ももちろんだし、社会的に今の年齢でスケートボードだけやるっていうのも普通ではないと思うし。そういった一般常識を考えると、自分はずれているなと感じるし、警備員や警官からの注意も昔よりは気に留めるようになりましたね。(スケーター/MORTARスタッフはかせさん)

金がすぐ無くなるところかな。ハードにスケボーしてる時は、デッキとか月に2~3本変えたりしてたね。コンビニの前で飲むにしろ、飲み代もかかるしね(笑)。でもメリットのほうが多いよ。(スケーター/ストレイトオーナー高宮さん)

日焼けして肌の色が黒くなってしまうので、お固い仕事をしてる場合チャラい人にみられてしまうところ(笑)。(サーファー/れおさん)

友達がいないとハードルが高いスポーツだと思う。どこに行ったらいいのかもわからないし、何を買えばいいのかもわからないし、how toを教えてくれる人がいないと始めにくいところ。(サーファー/まさりさん)

海へ行くまでの交通手段が難しい。車を持ってない人は、電車で向かうしかないのでかなり大荷物になってしまったり。(サーファー/なおきさん)

10〜20代の若年層がメインのスポーツであるスケートは、30歳前後で始める人が多いサーフィンとは対照的に”年齢”という点もデメリットとなりうるようだ。
一方移動手段も含めて、始めるまでのハードルの高さがサーフィンならではのデメリットなのかもしれない。

“昔は暗いハードコアパンクばっか聴いてたけど、今は優しい音楽ばっかり(笑)。”

ー滑る時に調子が上がる音楽を教えてください。

僕はサウンドクラウドやミックスクラウドにある、ドラム音だけのミックスとかが好きです。
最近だとカナダのスロージャズシンガー、ダニエル・シーザーをよく聴いてます。(スケーター/PROVショップスタッフしゅうさん)

最近ハマってるのは、チカーノ・ソウルっていうジャンル。ギャングっぽいゴリゴリなビジュアルなんだけど、曲の内容はスウィートな恋愛の歌だったり。昔は暗いハードコアパンクばっか聴いてたけど、今はもう大人なんで、優しい音楽ばっかり聴いてます(笑)。(スケーター/SUNDAYS BESTオーナー YOKさん)

チルアウトできそうなメロウな音楽が多いですね。レゲエとかも昔は聴いてました。ジャックジョンソンは人気ですね。(サーファー/PENSION THIRD PLACE橋本さん)

ジャック・ジョンソンをよく聴きます。サーフィン後は、ジェイソン・マーズのI’m yoursっていう曲がすごくおすすめです。(サーファー/れおさん)

僕もジャック・ジョンソンと、ドノバンていうアーティスト。どちらもサーファーなので、サーフィンにぴったりの曲が多い。(サーファー/まさりさん)

ヒップホップ、ロック、ソウルなどそれぞれ個性的なアンサーが目立ったスケーター。それに比べサーファーは、ジャックジョンソンやジェイソン・マーズのようにいわゆる “サーフミュージック” と呼ばれるメロウな音楽を聴くひとがほとんどという結果となった。

写真:PROV

“スタイルを決めつけるのはすごいダサいと思う。”

-ファッションにおいてマイルールはありますか?

Tシャツにワークパンツやデニムを合わせたり、いたってシンプル。古着も買いますし、高くても自分が気に入ったら買う。昔だとアディダスやナイキもスケートラインが無かったから、逆にスケシューじゃない靴を履いて滑るのがかっこいい、みたいな価値観はありました。(スケーター/MORTARスタッフはかせさん)

「これはスケーターのスタイルだよね」って決めつけるのはすごいダサいと思うから、ひとつのブランドに凝り固まらないようにしてるかな。いろいろな服が着たいからね。スニーカーもつぶすまで履きたおして、新しいのを買う。(スケーター/PROVストアマネージャー用松さん)

スケボーブランドじゃなくて例えば古着のラルフローレンとか着て滑ってたらかっこいいよね。ああいうルールに縛られない個性が出てるスケーターはかっこいいですよね。(スケーター/SUNDAYSBESTオーナーYOKさん)


楽な格好がいいですね。窮屈な洋服は苦手なので、シャツとかはあまり着ない。足元も、冬場はシープスキンのもの、夏はサンダルが多いですね。ブランドだと、アフェンズというオーストラリアのものが好きです。(サーファー/PENSION THIRD PLACE橋本さん)

基本的に着替えやすいスタイルが多いですね。シャツとショートパンツとか、シンプルでラフな格好が好きです。最近のサーファーガールは、ロキシーとかヴォルコムなどの可愛いデザインの水着を揃えたりしてます。(サーファー/田中さん)

オーストラリア発のTCSSとスーパーブランドというブランドが好きです。サーフィンをすると胸筋や腕周りに筋肉がつくので、デニムにTシャツっていうシンプルな格好でもさまになりますね。(サーファー/まさりさん)

アヴィレックスというブランドが好きです。アメカジ系なんですけど、ずっと長く着れるクオリティの高さが気に入ってます。海の近くのサーフショップには、かっこいいブランドがセレクトしてあるから来ればリアルな流行がわかると思います。(サーファー/れおさん)

体への負担や、着心地の良さを重視するサーファーと対照的に、かなり自分のルールがはっきりとしているスケーターたち。日々、たくさんの人々が行き交うストリートの中で生活しているのもあり、ファッションへのこだわりもかなり強い。

“最初は遊び感覚でやるのもいいと思う、それ以上に学べるものがたくさんあるから。”

ーまだ始めてないひとに向けてアドバイスを!

やったら絶対に楽しいから、悩んでいるならデッキを早く買って滑ってみたほうがいい。最初は恥ずかしがらずに形から入って遊び感覚でやるのもいいと思う、それ以上に学べるものがたくさんあるから。(PROVストアマネージャー用松さん)

まずは遊びに行く時とかに、デッキ持っていったら楽しいんじゃないかな。最初は地面に置いて乗るのも緊張すると思うし、段差上がれない、下れない、可愛い女の子の前でこけるとか、色々あるけど(笑)。(SUNDAYSBESTオーナーYOKさん)

かっこいい物を身につけて、かっこいいギアで乗りなよって言いたいね。意外にスケートの世界にある、暗黙の細かいルールを理解することが大切だったりする。スケーターはあいつが何の服着て、何の靴履いてるのかを見て点数つけたりもするから。あとやっぱり、スケートはパークよりもストリートで滑ってほしい!(ストレイトオーナー高宮さん)

写真:PENSION THIRD PLACE橋本さん

初心者向けのスクールに老若男女とわず集まるので、気軽に楽しむことができます。少しずつ「出来た!」っていう嬉しい感覚を忘れずに、徐々にトライしてみてください。サーファーはフレンドリーな人が多いので、すぐ馴染めると思いますよ。(サーファー/田中さん)

正直、最初は難しいスポーツだと思う。でもコツコツやると結果がかならず見えるから、まずは勇気を出してサーフショップに来るとか、波に乗ってみるとか、自分なりの目標を決めたほうが楽しいと思う。(サーファー/まさりさん)

最近は女性サーファーも増えていて、女友達もいっぱい増えてすごく楽しい。女性用サービスも充実してるし、女の子も挑戦しやすいスポーツだと思います。(サーファー/サンドラさん)

僕の場合、まずサーフショップに足を運んで道具を揃えてから1から教えてもらったんです。でも最近の初心者は、ネットショッピングで道具を揃えてから海に来る人が多い。それだと充分にサーフィンの魅力が伝わらなくて、いまいち深く入り込めないまま終わってしまうので、やっぱり経験者が多く集まる店に直接足を運んでほしい。ショップを経営する僕自身も初心者や海外から来たサーファーがゆっくり安心できる環境を提供したいと思ってますね。あとやはり肌は日焼けして黒くしておくといいですね。肌が白いと海辺で浮いてしまうので(笑)。(サーファー/PENSION THIRD PLACE橋本さん)

今回のインタビューを経て、スケートとサーフィンはまったく別物の横ノリスポーツだということを改めて実感することが出来た。それは、背後にあるバックボーン、まわりに存在するカルチャー、それぞれのパーソナリティも対照的で興味深いものだった。
ただ、共通して言えることは”横ノリ”のスポーツを通じて性別や年齢、言葉の垣根さえも越えた新たな出会いが、彼らの人生をより豊かなものにしていることだ。
最初だからこそ、外見や周りの目を気にせず、まずは遊び感覚で始めてみてはいかがだろうか。

<CREDIT>
-DIRECTOR-
Kazunari Daio-PHOTOGRAPHER-
Cho Ongo
http://ongocho.com/

-CINEMATOGRAPHER-
Ik-tong Ryo

-WRITER-
Saki Ito

-SHOP-
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東京都渋谷区神南1-3-4 1F/2F
03-6416-3181

■pension THIRD PLACE
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0475-36-2454

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