スニーカー界の第一線で活躍し続けるatmosの人気プレス“G-KEN”の仕事論

McGuffinをチェックしてくれている人なら誰もが知っているであろうスニーカーショップ「atmos」。
スニーカーヘッズからファッション好きまでを虜にするこのお店でプレスとして働くG-KENさんは、日本で3人しかいないMASTER OF AIRの称号をもっている。
YouTubeもやるし、イベントには欠かさずいるし、ファッション系メディアでもよく見かける。スニーカーカルチャー界隈で話題を欠かさない同氏。
これまでどんなキャリアを築いていたのか、アパレルという仕事に対してどんな考えを持って向き合っているのか。
そんな氏のスニーカーへの思い、仕事論を聞くために今回McGuffin編集部は、ギャラリーとショップの2フロアを展開する新しいスタイルのコンセプトショップatmos sendagayaに潜入した。
“スニーカーは個性を出すための一つのツールとして捉えていましたね”

-よろしくお願いします。
G-KEN : 今日はよろしくお願いします!
-最近よくatmosのYouTubeでお見かけしています!合わせ方とか最新のスニーカー情報とか、勉強させていただいてます!
G-KEN : ありがとうございます(笑)。
-スニーカーが本当に好きなんだな、と思いながら見させていただいてるのですが、いつからその世界にハマっていったんですか?
G-KEN : 正直、スニーカーを好きになった歴が意外に短くて…。
ここ7、8年とかそのくらいですかね。ちょうどその年数が僕がアパレルに携わっている年数と同じで。atmosはアパレルの会社の3社目なんですけど。

-それは意外ですね!
一番最初はどういうお店だったんですか?
G-KEN : 最初に就職したのは僕が中学校の時にすごい好きだった漫画家さんのアパレルブランドで。
-漫画家さんというともしや。
G-KEN : ええ、井上三太さんの「TOKYO TRIBE」っていう僕ら30代からしたらストリートバイブル、 みたいな漫画があるんですけど、それに影響を受けました。
僕は青森県出身なんですけど、上京して、大学も出て、何しようってなった時にそこに入りたい!って強い気持ちがあったんです。無事入れたんですけど。
-どうやってその井上三太さんのお店に入れたんですか?
G-KEN : 大学を出てから、一時期フリーターの時期があったんです。本当にバイトで生活してた感じでした。その時にちょうど募集が入ってきて。
でも働いているうちに、ひとつの固定ブランドのお店だとそのブランドの服しか着れないじゃないですか。
他のメーカーとかブランドは着れないですよね。 そこで個性を出すに当たって、どうしようかなって思った時に靴しかないなって思ったんですよ。

-なるほど!そこでスニーカーに繋がったんですね!
G-KEN:そうです。AIR MAXを履きたいなってふと思って、それがスニーカーを好きになったきっかけですね。個性を出すための一つとして捉えていましたね、その時は。
-なるほど、そのあとはすぐにatmosに?
G-KEN:いや、次のお店はセレクトショップでした。
1社目が先ほど話した井上三太さんの“SANTASTIC!”っていうブランドで、2社目が“POT OF GOLD”というお店で働かせていただきました。 ドメスティックブランドのINTERBREEDっていうブランドが運営しているお店ですね。三年くらい働いてました。
“AIR MAX好きなんだなこいつって思われたのかなって”

-なるほど。G-KENさんといえば、AIR MAX!というイメージを持っている人も多いと思うんですが、MASTER OF AIRについてお聞きしてもいいですか? “AIR MAXをこよなく愛する、選ばれし人”という認識で合ってます?
G-KEN:まあ、そんなところです。NIKEが公認するAIR MAX愛好家といいますか、NIKEが認めたAIR MAXコレクターっていうような感じの称号をいただきました。
-何人くらいの人が選ばれているんですか?
G-KEN:企画自体は今のところ一回だけなんですよ。その時は選考で3人選ばれて、その中で日本代表として選ばれました。日本を含めて各国9ヵ国、計9人ですね。選ばれたのが。

-どのような選考基準だったんですか?
G-KEN:その当時TwitterでNIKEが『ハッシュタグをつけてご自慢のAIR MAXをお見せください!』みたいな企画をしていて。その時集めていた50足を撮影して出したんですよ。
そしたらNIKEの人からDMがきました。
僕はレアもの中心っていうよりもインライン…今普通に発売されてるモデルを中心的に持ってたので、付加価値がなくても、AIR MAX好きなんだなこいつって思われたのかなって。
“スニーカーが好きであることが大前提かなって思います”

-スニーカーに関する職に就きたいっていう人も、この記事を読んでいる人では多いと思うんですけど、atmosさんをはじめ、名の有るスニーカーショップやブランドでG-KENさんのようにキャリアを築いていくには、どういうことが大切だと思いますか?
G-KEN:まずスニーカーっていうカテゴリーで言えば、スニーカーが好きであることが大前提かなって思います。
アパレルを華やかな職業だと思っている方ってすごく多いと思うんですよね。
でも、実際入ってみたら地味な作業、めちゃくちゃ多いです。むしろ、そっちがメインみたいな。
なので、多分根気がめちゃくちゃ必要なんですよね。思っていたのと違うなって8、9割くらいの人は絶対思うと思うんですよ。
-絶対ギャップは感じると。
G-KEN:ギャップは感じますね。ただそれでも靴、服を好きでいられるかが一番重要かなって思います。

-ちなみに入社される時はどういった経緯で入られたんですか?
G-KEN:現在atmosのディレクターをしている小島から声をかけてもらったのが最初のきっかけですね。
その時はもうMASTER OF AIRに選ばれた後だったので、小島から言われたのはスタッフとしてタレント的な奴が欲しいと。ある種適任だと思ってくれたのか、声をかけてくれました。
ただその時、前の会社でバリバリ働いていた時期だったので、その時は答えを出さなくて。 で、前の会社を辞めた時にそのことを思い出して、僕から連絡したんです。

-小島さんとのそんな歴史があったんですね。入った時から今のポジションで?
G-KEN:いえ、最初はお店に立っていました。
いちスタッフとして働き始めて、約一年後くらいですかね、今のような役職に就いたのは。
その時はatmos BLUE omotesandoで店長として働いていたんですけど、自分の中で店舗にいるのもいいけど、もうワンランク、ツーランクとレベルを上げたいなと思い始めたんです。
PRチームの方に入って僕も露出しつつ、企画だとかプレスの仕事を学んでいくことになりましたね。
-プレスのお仕事って具体的にどういったことをされているんですか?
G-KEN:主に雑誌へのリース対応(紙面掲載用の商品レンタル)とか、 他のプレスと違うところはこういうインタビューとかYouTubeの撮影とか、 いったら自分が広告塔みたいな感じがあるところでしょうか。

-確かにスナップなどでよくお見かけします。ちなみに今日履いている靴もAIR MAXですね。
G-KEN:そうです! ”Air Max90”というモデルで、今年で30周年なんですよ。
これはオリジナルのカラーを復刻したモデルで、30周年ということでatmosとしてもWEBサイトで特集ページを組んだり、色々やってます。 ”Air Max90”を今年はプッシュしていきますね。

-G-KENさんが主導でディレクションしたAIR MAXの新作イベントがatmos 千駄ヶ谷で行われたと聞いたんですけど、どういったイベントだったんですか?
G-KEN:毎年チャイニーズニューイヤー(旧正月)に合わせて、NIKE側のほうで『Chinese New Year』パックを発売しているんですけど、今回のコンセプトに「家族、ファミリー」っていう意味があったんです。
ですので、我々のほうで関わりの深い方、メディアさんも含めて、そういった人たちを人数をめちゃくちゃ限って、 招待させていただいて、みんなで食卓を囲む会をやりました。中華料理を実際食べていただいて。




Nike Air Max 1 Chinese New Year “Longevity”
“アドバイスができるようなYouTubeをやっていけたら”

-そんな広告塔からイベントの仕切りまでやってらっしゃるG-KENさんですが、将来、仕事においてやってみたいことってありますか?
G-KEN:ゆくゆくは僕自身で何かやりたいな、とは思ってます。
靴屋…では多分ないんですけど(笑)。アパレル業界で何か出来たらなって思ってます。
あと、地方のお客さんとかでアパレルの業界に入りたいって思う方はたくさんいると思うので、 atmosTVっていうYouTubeをやらせてもらっているんですけど、そこでYouTubeのノウハウを学ばせてもらったので、 ゆくゆくは自分でそういった人たちにアドバイスができるようなYouTubeをやっていけたらな、と思ってます。
まあ大博打なんですけど(笑)。 人生一回なんで、やってみたいなって思ってます!

Epilogue
アパレルに限らず第一線で輝き続けるには“そのことを本当に好きだという気持ちが大事”という当たり前だけど、見過ごしがちなことをG-KENさんは教えてくれた。
ファッションカルチャーの業界で知名度や地位を得てもなお、新しいことに挑戦していこうとする姿勢がとても魅力的な人でした。
自分の経験を若い人たちに還元していこうとしているG-KENさん、 そしてそんなG-KENさん擁するatmosの今後に目が離せない。
▼G-KEN
@yamao_gken
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▼atmos sendagaya
@atmos_sendagaya
▼STAFF
Text:Asuka Matsumoto
Photo:Sho Nakajima
Edit:Keita Ando