【RYO-Z×漢a.k.a.GAMI】こだわりは、いまだに100%出すっていうのをテーマに頑張っていること
酒が瓶の底に近づいていくほど、自分の中だけで巡らせていた思いや、若い時の考えが口をついででてしまう。東京の飲み屋でMCのRIP SLYMEのRYO-Zとゲストが仕事についてゆるく語り合うTOKYO CHILL OUT。
今回ゲストとして、自身がヒップホップMCでありながら、株式会社鎖グループ及びヒップホップレーベル「9SARI GROUP」代表も務める、漢a.k.a.GAMIを呼んだ。
RYO-Z:ということで、ここなんですよね。都内某所の中華屋さんで、漢くんが番組をやってらっしゃったんですよね。生中継みたいな番組をやってたときに、僕がね、その辺で飲んでいたんですよ、近所で。それを、噂を聞きつけて。「なんか、あそこに漢くんが来てるらしいよ」っていって、いきなり飛び入り参加しちゃったのが、出会いでしたよね、漢くんとの。
漢:最初俺、ほんと誰か分からなかったんですよね(笑)。
RYO-Z:ただの酔っ払いだったよね、僕(笑)。この店で出会ったというのもあって、今日はね、この対談に選ばしてもらいました。よろしくお願いします。
漢:はい、よろしくお願いします。
見様見真似で何も参考にせず始めた-漢 a.k.a. GAMI-
RYO-Z:漢くん自体はどういう角度でヒップホップ入っていったの?
漢:僕自体は、友達に誘われて入っていきましたね。
RYO-Z:もともとヒップホップは結構聴いてたり。
漢:ほとんど聴いてなかったですね。スチャダラパーしか聴いたことないような状態でした。高校の同級生に、ガタイがいいからという理由でいきなり「ちょっとラップやってみない?」って誘われて。着てるか着てないかわかんないようなカールカナイのベストを裸で着せられて、さすがに「お前これはちょっとやりすぎだろう、これは俺もわかるから、ちょっと違うの」みたいな感じで(笑)。
RYO-Z:それはやりすぎですね(笑)
漢:その時にコングと名付けられて、そこから漢になっていくんですけど。漠然とアメリカのギャングじゃないけど、勉強もできない、字も書けないようなやつがラップしてるんじゃないかっていうイメージから、見様見真似で何も参考にせず始めたんですよね。韻なんてのも知らなかったですね。
RYO-Z:新宿のイメージがあるよね。MC 新宿!って感じの。
漢:Kダブシャインが渋谷代表(=レペゼン)ってなって。このレぺゼンの意味って何だろうって、考えてみて。俺の中では、レぺゼンっていうのは遊び方だったり、日ごろのちょっとした身の回りのことだったりをラップにすることによって周りのやつらとの違いを表現するっていうのかな。ただそれだけの自己主張なのかもしれないっていうところにたどり着いたときに「俺、新宿区だし。絶対、俺らしかいねえ。」っていってレペゼン新宿だって結構声を高くしていったって感じですかね。
RYO-Z:リアルTOKYO TRIBEだね、それは。レぺゼン錦糸町っても全然通じなかったもんな、あの時(笑)
漢:持ちあげるっていうわけじゃなく、RIP SLYMEはメジャーで有名になっていった中でも、一番違和感なかったですよね。スタイルの矛盾なくやっていきやすかったというか。
RYO-Z:こないだのこのPuccaでの出会いのときも話してくれたけど、「真昼に見た夢」とか「白日」とかも聴いてましたとおっしゃってくれてて。
漢:そうですね。「真昼に見た夢」とか、だいぶ聞いてますよね。まあ、3桁は聞いてますよね。何100回と。
RYO-Z:ありがとうございます!それは、嬉しい限りですよ。
すぐにこいつらを抜かして俺がプロになってやる-漢 a.k.a. GAMI –
RYO-Z:最初はさ、遊びだったわけじゃない、ラップ。でもそれがいつからか仕事になっていくわけじゃない。その辺は、どこから意識が変わったの?
漢:僕は、ちょっと偉そうなことを言うと、日本のヒップホップシーンを見たときにアメリカ本場の文化との矛盾を感じたときですね。みんな言葉遊びみたいな感じで。当時は四字熟語が流行ってて、俺自身も最初はかっこいいと思ってたんですけど、そうじゃないだろう、と思って。耳ざわりとかはとりあえず置いておいて、身の回りだったりライフスタイルだったり、俺らの街の独特な所を全面的に出す、俺が最初に知ったときの黒いイメージのヒップホップの方をやろうと思って。すぐにこいつらを抜かして俺がプロになってやる、っていうふうにプロに向かってやっていましたね、意識が。
RYO-Z:仕事として、ビジネスとしてやろうという、レーベルとかも始めるわけじゃん。そこら辺が着眼点としてすごいなって。
漢:最初の出会った現実もちゃんと受け入れなきゃいけないというか。特にインディーズシーンだったり。ヒップホップだと表現して派手に見せるのも一つヒップホップだけど、今の時代みんながそうかと言うとそうじゃない。売れていくための戦略はしっかり考えていかないと。今はこう、自分で演出するじゃないですか、みんな。インスタだったり、見た目だったり、すごいみんな上手いんで、その中で今度、自分は何を武器にするかは、レーベルをしながら考えてますね。
いまだに100%出すっていうのをテーマに頑張っていることですかね。-漢 a.k.a. GAMI –
RYO-Z:ちょっと制作の話になるのだけど、例えば楽曲制作だったり、そういう所でこだわりみたいなところをちょっと聞いてみたいなと思うのだけど。
漢:自分の中でのこだわりは、いまだに100%出すっていうのをテーマに頑張っていることですかね。
RYO-Z:100%?
漢:100%を人生の中で本当に出したことあるかって言われたら、贅沢な言い方かもしれないですけど、そんなに無いんですよ、多分。特にヒップホップの中では。カッコいいラップしてやろうとか、全身全霊かけていいラップしてやろうとか、そうした気持ちよりも、「俺の生き方やっと見つけたーよかったー」っていう、気持ちでやってるんですよね。ラップがあることがむしろ俺にとっては自然、というか。
RYO-Z:すごいね。本当にライフスタイルだね。
漢:だから、俺にとっては知識とかは本当に要らないんですよね。知識が何で必要なんだよって思いますよ。自分の思うままにやればいいじゃんって。一番最初にアメリカでラップやったやつだってそうだと思いますよ。だから、俺は日本ので一番最初にラップやったやつでいいやって考えです。
RYO-Z:まさに「漢」だね。「オトコ」と書いて。
あと残りの1年、本当に我武者羅になりたい-漢 a.k.a. GAMI –
RYO-Z:自分たちが20代頃のときって、どんなマインドで、どんな感じで過ごしていましたか?
漢:20代はですね、ヒップホップを言い訳にこの青春時代をいい歳こいても続けていってました。その青春を辞めるかどうするかタイミングもありましたね。
RYO-Z:なるほどね、もうフラフラしてらんねーぞっていう。やるんならやるし、辞めるんならスパッと辞めないといけないっていう決断を迫られるときね。
漢:そう「30まで」っていうエンドラインがひかれたりとか。俺はラップグループを組織的な感じにしてやってたんですけど、お互いに鼓舞し合ったりとか、周りの連中見て、自分のやるべきこと定めて行ったりとかしてましたね。
RYO-Z:俺もお袋から、「25で何にもないんなら、自分のちゃんと就職先をしっかり見極めてやんなきゃ」って言われてて。それで今の契約が25歳のときにきまってその先を見据えていくっていうことになったから、ギリギリ、ミュージシャン、ミュージシャンというかラッパーとして、少し先がみえるみたいな感じになったのが25歳だったね。
漢:ちなみに、家を飛び出して一人で東京に出てきたって形ですか?
RYO-Z:ううん、おれはもともと錦糸町だったの。家を出たのが契約決まってからの26とかだったから、本当に甘々の甘ちゃんだったんだよね。でも。インディーズ時代とメジャーになっていく堺が20代中盤だったから、それで鍛えられたなあ。
漢:メジャーってすごい厳しそうですよね。
RYO-Z:だって俺たちインディーズで「白日」とか「真昼に見た夢」出したあと、3年くらい何もださなかったからね。クラブのライブに行って、ワーってやって「今日も盛り上がった、やったねー」ぐらいのちょっとイカれた連中だった。漢君みたいに、自発的にちゃんと戦略練ってやってこうみたいの無かったんだよね。たまたまメジャーの目にとまって、デビューしていくことになるんだけれども、その時にかなり鍛えられたね。毎週ライブの練習をして、どんどん出来てくる新曲のデモテープをメンバーもスタッフも含めてとにかく沢山聴いていって。
漢: 20代はとても大切だと思いますけどね。そうやって自分の向かう方向を決めるときなんで。
RYO-Z: 30代はどうですか?
漢:残りの1年間、本当に我武者羅になりたいと思いますけどね。100%出したら誰にも負けないだろっていう自信も、ずっと持ってやっているんですけど。その100%出す条件が言い訳になってしまうんで、とりあえず、残りの1年で100%を一回超えてみたいですね。40なる前に。
■RIP SLYME
RYO-Z、ILMARI、PES、SU、DJ FUMIYAの4MC+1DJで構成される日本のヒップホップグループ。
Official Site : http://www.ripslyme.com/
Twitter : https://twitter.com/ripslyme_com
Instagram : http://Instagram.com/rip_slyme
RYO-Z Twitter : https://twitter.com/ryoujinarita
■漢 a.k.a. GAMI
鎖グループ代表にして大日本帝国・東京は新宿をリプレゼントするラッパー。新宿拡声器集団MSCのリーダーにしてフリースタイルMCバトルの代名詞UMBの発案者。日本のヒップホップをさらに面白くしていくエンターテイナー。
Twitter : https://twitter.com/9sari_group?lang=ja
Instagram : https://www.instagram.com/kan_9sari/?hl=ja
■9SARI GROUP
漢 a.k.a. GAMIが理想とするヒップホップを追求するために設立したインディペンデントなレーベル。スタジオとカフェを併設した西早稲田にあるオフィスはヒップホップ好きの交流の場となっている。
Official Site : http://9sari-group.net/label-9sari
■漢たちとおさんぽ
FRESH!で2016年7月12日から毎週火曜日の夜20時に配信されているバラエティ番組。
https://freshlive.tv/9sari