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【半田悠人×大畑ありさ】テラスハウス経験者が語る「都会での新しい暮らし方」

−「人とのつながりを作りながら暮らす」都会での新しいライフスタイル−

少し前までは友人や兄弟と共に住み、家賃を“割り勘”して安く住むことが大きな目的だったシェアハウス。最近ではコミュニティや繋がりを作るために共同生活を始める人が増えている。

「ソーシャルアパートメント」という新しいスタイルを知っているだろうか?
シェアハウスは同じ部屋で雑魚寝ということもあるが、ソーシャルアパートメントは各自の部屋がある。自分の時間を持ちながらも、入居者同士がラウンジなどで交流できる賃貸物件だ。

今回はリアリティ番組『テラスハウス』の入居者だった建築デザイナーの半田悠人さんと帽子デザイナーの大畑ありささんに、当時のことを振り返りながら、これからの都会での新たな暮らし方ついて語ってもらった。

訪れたのはこの春にグランドオープンしたソーシャルアパートメント『ワールドネイバーズ清澄白河』。

−今を逃したらきっと一生味わうことはないなって思った−

半田悠人(以下、半田)
:ありさはもともとなんでシェアハウスに住もうと思ったんだっけ?

大畑ありさ(以下、大畑)
:東京に来てから6年経って、仕事場と家の往復だけになってた。新しい出会いなんてなくて心を閉ざしがちになってて。シェアハウスに住むのは今の環境を変えるきっかけになると思ったの。半さんは?

半田:俺の周りの美大生とか芸大生って、みんなお金に困ってるからシェアハウスをしてる人が多かったんだよね。でも、男同士の家のキッチンの汚さとか、洗濯物のことを考えると俺には無理だと思ってた。ただ、シェアハウスが流行ってたし、テラスハウスは豪邸だし、飛び込んでみてよさを知っとかないといけないなと思ったんだよね。

大畑:基本、結婚したり家族ができたりしたら住めないじゃない? だから時期って限られてるよね。

半田:今を逃したらきっと一生味わうことはないなって思ってたね。それにまったたく違うジャンルの人と出会うきっかけになったな。

大畑:タップダンサーがいたのはびっくりしたかな(笑)

半田:俺は雄基(タップダンサーの安達雄基)とは一緒に住んでなかったけど、飲み仲間になれたし、それもあの家があったからだよね。

−入ってみたら、嫌なことも嫌じゃなくなってた−


大畑:実際に入ってみてどうだった?

半田:思っていたのとはやっぱり違ったよね。いつもだと仕事して帰ってきて翌日に持ち越してた頭の中を、テラスハウスでは一回リセットできてた。

大畑:まったく今までの生活と関係ない世界があったよね。仕事以外の話もできたし、違う人の人生も垣間見れた。みんな何か目標があって頑張ってる人だから刺激を受けたし、自分がやってることがすべてじゃないって思えたかな。男子部屋とか結構汚かったじゃない? それはイメージと一緒だったんじゃない?

半田:そうだね。でも、部屋が汚いからといって喧嘩にもならなかった。みんなで掃除やるぞ! ってやってたから俺たちすごく仲良くなったのね。嫌なことも嫌じゃなくなってるとこはあったと思う。

−適当な言葉で終わるような友達関係を超えていたと思う−


大畑:シェアハウスに住んでよかった点ってなに?

半田:みんなが支えてくれたし、自分も支えられてるんじゃないかなって思えたこと。適当な言葉で終わるような友達関係を超えていたと思うんだよね。異業種で国籍も違ったりして、いろんな考え方があったのもよかったかな。ありさは?

大畑:さみしくなかったことかな。やっぱりご飯はみんなと食べたほうがおいしいなって思ったし、実家に住んでいたときを思い出しちゃった。

−ソーシャルアパートメントはシェアハウスとは何が違うんだろう−


半田:そもそもこのソーシャルアパートメントって知ってた?

大畑:言葉自体知らなかった。ぱっと見ただけではシェアハウスと何が違うんだろうって。

半田:俺のイメージだと一つの家を全部分けて使おうっていうのがシェアハウスで、 キッチンとか洗濯機みたいな、みんなで使ってもよくない? っていう部分を大きな場所にしたのがソーシャルアパートメントかなと思う。


大畑:みんなでわいわいできる空間と自分のプライバシーが守られる空間が両方あるっていうのは大きく違うよね。あと、テラスハウスの中で起った数々の事件もソーシャルアパートメントならないのかなって。勝手に冷蔵庫に入っていたお肉を食べちゃったとか(笑)。

半田:あとは、ここにはいろんな出来事が起きそうな雰囲気があるのもいいと思う。ビリヤード台やバーみたいに、みんなが輝く場所があるってゆうか。

大畑:環境があって、あとは自分たち次第でどうにでもできる楽しさがあるよね。仕切りたい人がいたら率先してイベントとか作ってくれそうだし、参加したいけど自分から言えない人は企画してくれる人がいるから寂しくないっていうね。

−ビジネスがはじまりそうなワーキングスペース−


大畑:ソーシャルアパートメントは仕事スペースとかバースペースがあっていいよね。場所によって私は今こういう気分ですってわかってもらえる。

半田:ワーキングスタジオ気に入ったな。絶対あそこでなら集中できるもん。
ボックスシートっていうのもいい。


大畑:隣の人が何の仕事してる人だろうって気になるよね。。

半田:よく顔を見てる人にワーキングスペースで会ったら「何されてるんですか?」って絶対話しかけるでしょ。「えーグラフィックやってるんですか? 今手こずってて、ここお願いします」「え、やりますよ!」みたいな会話にもなりそう。

大畑:いろんな業種がいるからつながったりするかもね。

−住む人々の生活に寄り添ったデザイン−


半田:もともとシェアハウスって「外人ハウス」みたいなところからはじまって安く住むための手段でしかなかったんだよね。今は安さよりもデザイン性が大事になってきてるっていうのは感じる。

大畑:シェアハウスだと小物を置いておしゃれにするくらいで、できることは限られるよね。それに比べるとここは壁紙とか照明もいい。

半田:床材も普通じゃないもんなあ。

大畑:テラスハウスはプールとかがあって建物自体にお金がかかっていておしゃれだったけど、ここってリノベーションだから愛着が湧くよね。


半田:家電は性能も求めるしいいものが置かれているけど、机とかは手作りでD.I.Y.的なぬくもりがあっていいね。かっちりしすぎてないから打ち解けた話もしやすそうだなって。

大畑:手作りだからガシガシ使ってどんどん味がでていって、それも楽しいよね。

半田:生活に寄り添ったデザインだよね。吹き抜けでグレーチング(溝蓋)から一階の様子が見える感じは、人の生活の視線や関係性をよく考えて作ってるなって思う。上の階から共用スペースが見えたら「今ビリヤードやってるから下りよう!」って思うじゃん。

−趣味の集まりからセイフティーネットにまで−


半田:ソーシャルアパートメントって今は結婚前の一人暮らしの人が住んでる前提じゃん。でもこれからは家族同士が同じ場所を共用スペースとして持つっていうのがあり得ると思う。例えば畑があって、おじいちゃんとおばあちゃんが野菜を作って、それを若い家族がもらって。

大畑:おばあちゃんと触れ合う子どももいなくなってるからね。本当の(血の繋がった)おばあちゃんじゃないにしても昔の知識を教えてもらったりとかして。
共用部分が社交ダンスとか将棋とかゲートボールができるようなコミュニティの場になってもいいよね。

半田:池袋に建築家が運営している『青豆ハウス』っていうのがあって、そこに住む8世帯の家族ってすごい仲がいいのね。自分たちでピザ釜作ってみんなでピザを焼いて食べたりして。そういう形態がどんどん出てくると、新しい家族の繋がりとか多世代の交流が生まれそうだよね。

大畑:今は連絡手段もコミュニティもないお年寄りの単身世帯が多くて、孤独死が問題になってるわけじゃない? だからそのセイフティーネットにもなりそうだよね。

−ここでは暖かさがわかるんじゃないかなって−


半田:今日ソーシャルアパートメントを見てどう思った?

大畑:住みたいなって思った。一人になりたかったら部屋に帰ればいいし、寂しくなったらみんなのところに行けばいいっていう選べる楽しさがいいなと思って。

半田:俺もまだこの先も一人で暮らしていきそうだから選択肢としてありだなって思ったんだよね。東京は冷たい、みたいなことをよく言うけど、ここでは暖かさがわかるんじゃないかなって思った。

大畑:このソーシャルアパートメントだったらいい意味で距離感を保ちつつもコミュニケーションもとれるから東京は冷たいとか思わなくなるんじゃないかな。孤独は感じないよね。30代すぎてもひとりぼっちだったら住もうかな(笑)

半田:(笑)。俺も結構年取って全部やりきったなってなったら、こういうところの最上階に住んでたまに降りてきて若い人のフレッシュな話を聞いて「おもしろいね、君!」みたいなのもありかなって想像した(笑)。

大畑:東京に出てきたばっかりの人にもおすすめだね。さみしくないっていう。


家族以外の人と同じ家で楽しく暮らすシェアハウス。メディアでも取り上げられ、多くの人がその暮らしを魅力的に感じていたに違いない。ただ、住まいのほぼすべてを共有としプライベート空間が確保しづらそうというイメージが強かった。

そうした中でラウンジやワーキングスペースなどの共用部分で人と交流しながらも、個人の部屋がありプライバシーを守ることができるソーシャルアパートメントが注目され始めた。これによりライフスタイルは多様化し、都会で暮らしていく選択肢は広がっている。

こうした暮らし方はまだ一人暮らしが集う住まいしての色が濃いが、これからは年齢層や世代を超えて多世代でコミュニティを形成していくようになるだろう。

<CREDIT>

■半田悠人
建築/内装デザイナー
DELICIOUS COMPANY 主宰
maison 1/1(メゾン イチブンノイチ)
https://www.instagram.com/yutohanda/

■大畑ありさ
SARIA FEMME(サリア フェム)、 Maison Couleur(メゾン クルール) デザイナー
https://www.instagram.com/ohataarisa/

■SOCIAL APARTMENT(ソーシャルアパートメント)
ワールドネイバーズ清澄白河
東京都江東区平野4-13-1
http://www.social-apartment.com/builds/view/49